眠れなかった柴犬と、リラックスのハーブ&アロマブレンド
前回はやせ細ったラブラドールと、消化を助けるハーブブレンドについてお伝えしました。今回は、不安な夜に叫び続けていた柴犬のお話です。
推定10歳以上のシニアの柴犬。
震災の混乱の中で保護されたその子は、昼間は比較的落ち着いていても
夜になると強い夜泣きと徘徊が続いていました。
慣れ親しんだ匂い。
聞き慣れた音。
いつもの景色。
長年積み重ねてきた安心できる環境が、一瞬で失われてしまったのです。
また、シニア犬にとって環境の変化は大きな負担になります。
安心できる場所や習慣を失うことで、不安が強まり、昼夜のリズムが乱れてしまうこともあります。
「少しでも眠らせてあげたい」
その一心でブレンドを考えました。
この子の入り口はどこだったのか
夜鳴きが問題に見えましたが、私が特に気になったのは「眠れないこと」そのものでした。
眠れないと体は休まりません。
そして眠れない状態が続くと、不安や緊張はもっと強くなっていきます。
この子に、まず必要だったのは「安心して休める状態」を取り戻すこと。
そのため今回のブレンドは、
・不安や緊張をやわらげること
・眠るための土台を整えること
・体への負担をなるべく少なくすること
を大切に組み立てました。
今回のハーブブレンドについて
パッションフラワー
天然のトランキライザーとも呼ばれるハーブです。
神経の高ぶりをやわらげ、不安や緊張をほぐしながら、自然な眠りへと導いてくれます。
今回のブレンドの中心となった植物です。
カモミールジャーマン
リラックスを代表するハーブのひとつです。
副交感神経を優位にしながら、体と心の緊張をやさしくほどいてくれます。
そして胃腸の負担をやわらげて、消化の負担をおさえてくれます。
体を支えるハーブたち
今回のブレンドでは、不安や緊張に寄り添うハーブだけではなく、体の内側を守りながら整える植物も組み合わせました。
眠りのためのブレンドであっても、私は全体を支える視点を大切にしています。
植物療法では、目的となる働きだけを強めるのではなく、その子の体全体のバランスを見ながらブレンドを組み立てます。
そのため、リラックスを目的としたブレンドでも、私は体を守る植物を一緒に選ぶこともあります。
ハーブだけでは足りなかった——アロマの力を借りて
ところが、最初は大きな変化が見られませんでした。
長年積み重なった不安や習慣は、ハーブの穏やかな働きだけでは届きにくかったのかもしれません。
そこで香りの力を借りることにしました。
ラベンダー
リラックスと睡眠を代表するアロマです。
香りが脳へ直接届くことで、不安や緊張をやわらげ、心をほぐしてくれます。
オレンジフラワー(ネロリ)
深い不安や恐怖に寄り添うアロマです。
心に大きな負担を抱えた動物にも用いられることがあり、この子にとって大切な支えとなりました。
ます。
ハーブコンプレス(温湿布)で温かさと香りを届ける
現場のスタッフさんにお願いしたのが、ハーブコンプレス(温湿布)です。
ハーブを煮出したお湯にタオルを浸し、体にやさしく当ててもらいました。
温かさは体をゆるめ、香りは脳へ届く。
そして「手当て」の安心も届くように。
内側からはハーブを。
外側からは温かさと香りを。
その両方から寄り添う方法でした。
ほんの少し、眠れた夜
数週間後、こんな言葉が届きました。
「ほんの少しですが、眠ってくれるようになりました」
劇的な変化があったわけでも、一晩ぐっすり眠れた、というわけでもない。
それでも、夜通し叫んでいた子が少しだけ静かな時間を持てた。
人も動物も、眠れない夜は心と体を少しずつ削っていきます。
反対に、短くても眠れた時間は、翌日を支える力になります。
あの柴犬が眠れた「ほんの少しの時間」は、きっと体と心を守る大切な時間だったのだと思います。

植物療法では、症状だけを見るのではなく、その子の体と心と暮らしの全体を見ながら見立てを行います。
チーム結でも、まずはお話を伺いながら、その子にとっての「入り口」を一緒に探していきます。
ハーブやアロマたちはそのための心強い仲間です。
次回は、腫瘍を抱えて術後のむくみに苦しんでいたセッターと、デトックスのハーブブレンドについてお話しします。🌿
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