みぃと歌う|はじまりの日に

初夏なのに

すこし寒い日だった。

なんとなく立ち寄った
小さなペットショップで

ひとりのダックスフントの女の子が

こちらをみていた。

お店の人や他のお客さんが近づくと
少しおびえた様子を見せるのに

なぜか、わたしから
目をそらさない

そのあとすぐに、

「わん」と
はっきりと声を出した

驚いて振り向いたわたしに
しっぽをふる

それが、みぃでした

偶然かなと思って、一度背中を向けると
今度は「ワンっ。ワワワンワンっ」と
何度も声が聞こえてきた

店主さんが少し驚いて
「この子、いままで吠えたことないんですよ」と言った

あのときの
まっすぐな目だけは
今でもよく覚えている

どうしてこの子だったのかは
うまく言えないけれど

気がついたら
一緒に帰ることになっていた

家までの帰り道

「もうすぐだよ」
「お家につくよ」

そんなことを
何度も声に出していた気がする

そして、家についてから

少しだけ部屋を探索して

じゅうたんの真ん中で

安心したように眠ってしまった。

足よりもさきに、

おなかがつきそうなころ

よく食べて
よくいたずらをして

気がつくと
家の中を自由に歩きまわっていた

あまり怯える様子もなく
そのまま、すっと馴染んでくれて

そのことが
とてもありがたかったな

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